保護猫Rちゃんが教えてくれたこと ~出会い・別れ・未来へ~

   

埼玉県朝霞市で活動しています、動物との共生社会を目指す会 Vest.のKです。
私と猫さんとの歴史は2008年から始まります。

京都で2008年5月に生まれ、捨てられていたのを母の会社の人が保護しましたが、その人は既に先住猫さんが居て飼育は厳しい状態でした。
6月初旬に母が「猫を飼ってみたい」と、生後一か月未満で大阪の実家に迎え入れたのがRちゃんでした。
避妊手術時には医療ミスに遭いながらも克服して、元気にすくすく育ち、家の中を文字通り縦横無尽に動き回り、カーテンをつたって登りクーラー上からの見下ろすほどのやんちゃさん。

彼女が2歳の時に一度私が実家を出て半年間、一人暮らしをした期間、その後、実家に戻り約2年半1人と1匹で暮らしました。
5歳になるころ、転勤により一緒に上京。

初めての空輸で、空を飛んだRちゃん、1K9畳ほどの部屋でも走り回り、甘えたいときには、よく膝の上や傍らでゴロンとしてくれる子でした。
そして8歳になるころ、結婚前に旦那の家に正月休みと称して数日滞在したのですが、とっても居心地良さそうで、そのまま私も同居して結婚に至りました。
Rちゃんと旦那は本当にちょうどいい距離感で、とても仲が良かったです。

ちょうどその頃に出会ったのが県内で動物愛護活動をされていた方で、これから団体を立ち上げ啓蒙活動を開始(後のVest.)されることを知り、私もジョインさせていただきました。その後は、TNR活動、犬猫の遺棄、ペット防災、保護犬・保護猫の譲渡会活動、…様々な現状を学びました。
そしてそれらを広めることの難しさや大切さを知りました。

よく考えてみたらRちゃんも保護猫だったと気づきました。
徐々にRちゃんに友達をと思い、2匹目を検討し始め、近所の動物病院で行われていた保護猫譲渡会に初めて参加しました。
見ていたところ気になる子が1匹いたのでスタッフに声をかけたら、「その子よりこっちの子はどう?」と一緒にいた違う子を勧められました。
その場で断り切れず、検討しますと返事をしましたが、気持ちの“もや”は晴れないまま帰宅して、結局後日、今回は見送りの連絡をしました。
その時の“もや”は何だったのか当時はわかりませんでした。

その後、日向ぼっこが大好きなRちゃんも気に入ってくれそうな、陽あたりが良く景色のいい家に引っ越しました。
おやつをあげるのが大好きな旦那にべったりで、仕事から帰ってくると足元にまとわりつき甘えます。
そんな旦那とRちゃんの関係が濃いことに嫉妬したことも。

コロナがようやく落ち着き、私も職種が外勤に変わった頃、Rちゃんは調子が悪くなりました。
腹水がたまっていることが判って1ヶ月、たくさんの注射を打ち、腹水を抜く処置にも耐えていました。
それでもベランダに出たがったり、構ってほしいとよたよたと寄ってきて甘えたり…辛いはずなのに、私を呼んでくれていました。
数日後の夜のこと、私はRちゃんに寄り添い眠りにつきました。

早朝目を覚ますと、ぬくもりを残したまま、息を引き取っていました。
その日、関西から私の母と近くにに住んでいる義理の母もRちゃんに会いに来てくれて、色々な話をしながら、お通夜を過ごしました。
火葬の日は、旦那も休みで、ゆっくりたっぷりお別れができました。

家族思いのRちゃんのことだから、最後のお別れの日に家族が集まれるこの日を選んだのだと思います。

それからの毎日は本当につらく、夢にも出てきて、日常も空っぽに感じるほどで、初めてペットロスを経験しました。
日々、モノクロに感じる瞬間が人間的ではなかったように思います。
この気持ちを何とかしようと猫さんに会いたくなり、そして今後のことも考えて、保護ねこカフェを見つけ、3回ほど通いました。

気になる子が見つかって、トライアル希望 とカフェの方にお話した数日後、また例の“もやもや”に気づきました。
今度は突き詰めて考えてみたところ…私は「命を選ぶ」ということに抵抗感を感じていることがわかりました。
Rちゃんとの出会いも、家にくるまでどんな姿でどんな子で…なんて家族のだれも知らなかったから。
その出会いから別れまでを考えると、やっぱり“縁”でつながりたいと強く思いました。

しばらくは「次の猫さんを早く迎えたい」という考えはやめようとも感じました。
しかしやっぱり日々が辛く…寂しく暗い気持ちはぬぐえませんでした。

そんな時にSNSで「子猫保護」「里親募集」のトピックがあったことを思い出し、縁があったら新しい家族に迎え入れたいと思いました。
でも、葛藤もありました。
Rちゃんのお別れからそんなに経っていないのに次の子を迎えていいのか、またいつかくる辛い現実を受け入れられるのか? など。
だけどどこかで、Rちゃんにはじめから最後まで添い遂げた自信やRちゃんを忘れない自信もありました。

そこで「保護された子たちに少し会ってみようかな、トライアルをして、気持ち的に無理ならばまたご相談しよう」と決心しました。
それからあっという間に話が進み、面会→トライアル契約→トライアル開始となりました。
いざトライアルを開始すると…愛着以上のものがあふれ出し、縁を強く感じ、“出会った”という感情に。
こうなるともう『うちの子たち』に昇格です。

雄猫さんの飼育は初めてでしたが、雄雌2匹が我が家の一員となりました。
今回、家族に迎え入れたのは2匹でしたが、実は3兄弟。
運よくもう1匹も里親さんがいらっしゃったのでスムーズに話が進みました。
当初、親猫さんが産み捨ててしまい、産んだ場所の会社の方が保護、愛護団体関連の方へ即連絡、駆け付け保護された方、0歳のためミルクを数時間毎にあげなきゃいけない、その対応を引き受けてくださったミルクボランティアの方、その後は里親探しのため、預かってくださっていた方々 と、まさに『命の連携』が行われていました。

今、家族になってくれた2匹の子たちがすくすくと育っている姿を見ていて、こんなに尊い活動があるのかと、心から感じました。
Vest.に参加したことで、新たな人生の彩をいただけたことも強いご縁を感じています。
だからこそ、今後もしも不運にも愛からはぐれてしまった動物たちがいたら、今回のことを思い出し、行動したいと思いましたし、誰かが見つけていたら、アドバイスできるようになりたいと思いました。

今も日々元気に過ごしている2匹の家族。
見ているとRちゃんのことを思い会いたくなりますが、温かい気持ちにもなれます。
これまでも、これからも、Rちゃんは2匹の猫たちのお姉さんとして、私たちの守護猫さんとして、そばで見守ってくれています。
これからも愛からはぐれてしまった動物たちも、また愛を求め、愛される環境に戻れるように、一人ひとりが当事者として行動できる日がくるように、情報発信に貢献できればと思います。

この記事は、何よりも愛すべきRちゃんへの感謝の意を込めて捧げます。

 

【Rちゃん】

【Rちゃん】

【Rちゃん】

【左:R(女の子) 右:T(男の子)】

【左:R(女の子) 右:T(男の子)】

 - 活動報告